全国研修会開催レポート

高レベル放射性廃棄物を題材とした授業研究 (全国)

2018年度 エネルギー環境教育 「全国研修会」

開催日時 2019年3月3日(日)11:40-15:40
会場 日本科学未来館7F
東京都江東区青海2-3-6 日本科学未来館
内容 11:40~12:00 オープニング・開会の挨拶・プログラム紹介
12:00~13:00 実践報告・開発教材の実習
13:00~13:50 昼食
13:50~14:30 実践報告・開発教材の実習
14:40~15:40 講評とまとめ

全国研修会の様子

 2019年3月3日(日)、東京都江東区の日本科学未来館で、2018年度エネルギー環境教育「全国研修会」を開催いたしました。全国各地から小学校・中学校・高等学校の先生方や教育関係者の方々にお集まりいただきました。

 南は沖縄から北は北海道まで、全国各地の先生方から10件の高レベル放射性廃棄物の処分を題材としたエネルギー教育、環境教育の実践報告がありました。今年度は特に、授業の内容だけでなく、教科を横断したクロスカリキュラムを行う際の連携の方法や、授業を通し、社会的な合意形成に資する主権者教育のあり方などに言及された実践発表を多くいただきました。

 島根県の中学校で社会科と理科の先生が発表された授業では、探究学習のテーマとして「島根の活性化を図る」を提示した際に「高レベル放射性廃棄物の処分地に立候補することで島根の経済の活性化を図る」と提案した生徒がいたことが報告されました。その問題意識を全員の学習課題として「高レベル放射性廃棄物の処分地の立候補をめぐる住民投票があった場合、どう判断すればいいだろうか」と問いを設定。社会科の先生が問題提起を行い、理科の先生が放射線などの科学的な知識を解説した後に、生徒の多様な意見を共有して議論する授業でした。「資料を使って事実をつかむ」「事実を比較したり、関連付けたりしていきながら構造化していく」「知識を使って論争場面において根拠を持って自分の考えを述べることができる」「最終的には多様な意見、対立する意見をすり合わせながら納得解に近づけていく合意形成を図っていく」という、身に付けさせたい資質・能力から計画を立てる中で、自然と別の教科を担当する先生が連携していった背景も紹介されました。

 静岡県の小学校・中学校の先生方からは、NUMOが作成した基本教材を用いた授業を小学校や中学校で実践したときの児童・生徒の様子もご紹介いただきました。廃棄物の処分方法を、知識を得るだけでなく「自分事」としてとらえてもらえるように、特に中学生に対しては、政府が発表した「科学的特性マップ」を提示しながら、自分たちの地域を超えた、日本国内の問題だととらえられる授業の進め方が紹介されました。

 別会場では、2つのゲーム教材の体験会が開催されました。午前中は、関西学院大学社会学部の野波寛教授に「誰がなぜゲーム」をご紹介いただきました。利害や立場や価値観の異なる人々が一度に集まって話し合う場を模擬的に作り、教室の中で話し合うゲームです。これは沖縄県の中学校でも実際に教材として活用されていて、授業の実践の様子も発表されました。
 午後からは、NUMOとNPO法人企業教育研究会が、各地の先生方の意見を取り入れながら開発している、地層処分のプロセスを題材としたボードゲーム「地層処分って何だろう?〜ジオ・サーチゲーム〜(パイロット版)」の体験会行われ、参加された先生方から様々な意見をいただきました。

 10の実践発表と2つのゲーム教材の紹介が行われた後、全体の総括として発表会場のコーディネーターを務められた京都教育大学の山下宏文氏、常葉大学の安藤雅之氏から講評をいただきました。教科を横断した授業づくりや、カリキュラム・マネジメントのあり方に意欲的に挑戦された実践が多く発表されたというコメントをいただきました。また、教育過程の中で「現代の諸課題に対応できる資質能力の育成」を行うために、高レベル放射性廃棄物の処分問題を題材としたエネルギー環境教育が一つの有効な課題であることが確認されました。同時に「このテーマについて詳しい先生方以外の先生に、どのように伝えていくのか」という課題も提示されました。

 最後に、NUMO理事長の近藤駿介が登壇いたしました。創意工夫と熱意があふれる授業実践が各地で行われていること、また、それを実現するまでの各教育機関や先生方のご尽力に感謝の意を表しました。さらに、科学的な情報提供だけでなく社会的な意思決定のために規制行政に関する適切な情報提供が重要であることの再認識と、参加された先生方の今後のご健勝とご活躍を祈念し、閉会の挨拶といたしました。

 

実践報告の様子


ゲーム教材の体験会


講評


閉会の挨拶